PU注型機の選定ガイド:まず液の性質を把握し、それから仕様を決める
2液型ポリウレタンは工程窓が狭く、A液は湿気に弱く、B液は沈降しやすい材料です。配合比が少しずれる、液温が数℃違うだけで、硬化後の硬度・接着力・絶縁性能が変わります。本記事では計量ポンプ、混合方式、温度管理、真空脱泡の4項目で選定の考え方を整理し、よくある落とし穴2つと、選定前に確認すべき5項目をまとめます。
2液型ポリウレタン(PU)は工程窓が狭い材料です。A液(イソシアネート)は湿気に弱く、B液(ポリオール)は沈降しやすい性質があります。配合比が少しずれる、液温が数℃違うだけで、硬化後の硬度・接着強度・絶縁性能が変わってしまいます。手作業での配合・撹拌はロット間の安定性を確保しにくく、臭気が強く洗浄も手間がかかります。PU注型機が解決すべき本質は3点です。配合が正確、混合が均一、温度が安定。

決めるべき4つの仕様
- 計量ポンプ:フィラー含有の有無が分岐点。無充填またはフィラーの少ないPUはギヤポンプが適し、高精度で寿命も長くなります。フィラーを多く含む系(アルミナ、シリカ粉など)は耐摩耗性のスクリューポンプが必須です。ギヤポンプでは数か月で摩耗し、配合比がずれ始めます。
- 混合方式:粘度と可使時間で決まる。低粘度で可使時間が長い材料はスタティックミキサーで十分です。低コストで使い捨てでき、洗浄も不要です。高粘度、または数分でゲル化する系はダイナミック混合を選び、自動洗浄と組み合わせます。
- 温度管理:加熱だけでなく冷却も必要。同じPUでも夏と冬では粘度がまったく異なります。タンクと配管は加熱と冷却(チラー循環)の両方に対応し、液温を設定値±2℃以内に保つ必要があります。加熱のみの仕様は、高温多湿の季節にトラブルが集中します。
- 真空脱泡:製品で判断する。高電圧機器、光学部品、接着層が厚い製品の注型は真空脱泡が必須です。脱泡しないと気泡が抜けず、絶縁耐圧試験を通りません。一般的な封止用途ではこのコストを削減できます。
最も陥りやすい2つの落とし穴
- 自動洗浄は宣伝文句ではなく必須項目。PUは混合直後から反応が始まります。スタティックミキサーは安価で使い捨てできますが、ダイナミック混合ヘッドは高価です。高圧噴霧の自動洗浄がなければ毎回分解して手作業で拭くことになり、時間も溶剤も消費し、連続生産ができません。
- 配合精度は長期安定性で判断する。多くの装置は新品時の精度は良好ですが、半年ほどでシールが摩耗し、ポンプの隙間が広がって配合がずれ始めます。主要な計量部品はブランド品(サーボモーターと精密計量ポンプ)を選び、後の部品交換がしやすい構造であることも重要です。
選定前に確認すべき5項目
- どこのメーカーの、どの品番の液を使うのか。
- A:Bの混合比はいくつか(1:1と10:1では大きく異なります)。
- フィラーはあるか。おおよその配合率は。
- 1個あたり何グラム注入するか。1日何個生産するか。
- 真空は必要か。その他の特殊な工程要件はあるか。
この5項目を明確に伝えることで、メーカーは正確な仕様を提案できます。逆に価格だけを尋ねても、実用的な見積もりは得られにくいものです。
まとめ
すべてに当てはまる最適仕様は存在せず、あるのは液・製品・生産量に合った仕様です。選定の第一歩は価格比較ではなく、液の特性と工程要件を把握することです。2液注型機のポンプ形式、混合方式、温度管理、真空仕様も、この確認結果から決まります。
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